招待論文・解説記事
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高機能暗号の社会展開を促進する物理・視覚暗号
- 著者
- 花岡 悟一郎, 岩本 貢, 渡邉 洋平, 水木 敬明, 安部 芳紀, 品川 和雅, 新井 美音, 矢内 直人
- 雑誌/会議名
- 電子情報通信学会和文論文誌
- 巻
- J106-A
- 号
- 8
- ページ
- 214–228
- 出版社
- 電子情報通信学会
- 発行年
- 2023
概要
高機能暗号は,個人情報等の機密情報を保護したまま,データ分析やアクセス制御等を実行可能とする暗号技術(の総称)であり,データの利活用の更なる推進を促すうえで極めて有効と考えられている.しかしながら,高機能暗号は,用途に応じた多様な技術に細分化がなされており,また,それらの個別の技術によって提供される機能や安全性は複雑であるため,理解が容易ではない.そのため,高機能暗号の利用により利益が得られる潜在的な利用者であっても,技術的な理解が不十分なため,利用を躊躇する場合も少なくないものと思われる.したがって,高機能暗号の社会実装を進めるうえで,その機能や安全性についての理解を促すための技術の研究開発が別途必要である.本論文では,そのような高機能暗号の機能や安全性をわかりやすく説明することを可能とするツールである物理・視覚暗号やその関連技術について紹介を行う.物理・視覚暗号を適切に用いた説明を行うことで,それらに対応した高機能暗号に関する潜在的な利用者への技術的な理解が促され,高機能暗号の社会実装が促進されるものと考えられる.