本研究室を志望する人へ

配属を希望する学部3年生へ

暗号理論は情報システムの安全性を論理的・科学的に議論する学問です.研究を進めるにあたって離散数学の基礎 (論理,集合や写像など) や,暗号理論の基礎的知識を学習していることが望ましいです (II類の離散数学や暗号理論で扱う内容です).最低限,II類の離散数学の履修内容がある程度理解できた上で,興味がもてる内容であったことが必要だと思います.知識不足はフォローしますが,論理的な話題に苦手意識があると苦労します.一人で,あるいは議論を通じて,じっくり深く考えることが好きな人が向いています.

本研究室に配属後は,暗号理論という題材を通して以下を習得することを目指します.

  • 物事を論理的に考える力. 文献などの情報を適切に収集し,また教科書を鵜呑みにせず,正しく理解し,自分で再現出来ること.
  • 自身の伝えたいことを相手に正確に伝える技術 (文章能力・プレゼン力). 自分で理解したことをきちんと体系立てて整理し,自分の言葉として表現出来ること.

これらは,修士課程に進む人には研究遂行の基礎になりますが,就職する人にも一般的な能力として必要だと思います.可能な人は,年度の後半に行われる暗号と情報セキュリティに関するシンポジウムでの発表を目指します.

参考:2024年度卒研配属用配付資料

修士課程から配属を希望する方へ

暗号理論またはその周辺に関する内容で卒業研究を行っていることが望ましいです. 研究を進めるうえで必要となる基礎的な知識 (暗号理論だけではなく,確率論,情報理論,計算理論等を含みます) は各自勉強してもらうこととし,個別に指導はしません.ただし,必要なら進学が決まった段階で入学までに勉強しておいてほしいことは伝えるので構える必要はありません. それらの理論に十分な興味を持てるかどうかが重要です. 修士課程から配属を希望する場合は,必ず出願前のできるだけ早い時期に教員 (岩本・渡邉両名) に連絡を取り,可能な限りオープンラボ等に足を運んでほしいと思います.

本研究室に配属後は,暗号や情報セキュリティに関する専門技術の研究経験を通じ,以下の習得を目指します.

  • 自発的かつ論理的にものを考え,主体性を持って創造的に仕事を進められるようになること. 指導教員のサポートを受けつつも,自分が中心となってプロジェクトを取りまとめられるような能力を身につけること.
  • 専門知識を理解し,相手に正確に伝える能力. 専門的な内容について,大域的な理解と細部の理解を両立し,誤解のないよう相手に伝えられるようになること.
  • 研究に関する一通りの作業を経験し,何らかの意味で研究分野に新しい知見を得ること. 特に,自身の研究テーマに関する特定の分野においては,教員より深い専門的な知見を持つこと.

なお,修士課程に進学するための研究生については原則として受け入れません.優秀な学生さんもいらっしゃると思いますが,研究室の正規メンバーとの活動を主と考えているため,ご理解ください.

博士課程から配属を希望する方へ

情報セキュリティに関する内容で修士号を取得し (または取得する予定で),暗号理論に関する内容で何かしらの業績があり,以下の素養が少なからずあると自負している人が望ましいです.

  • 思考や発言内容を論理的に組み立てられる力.
  • 根気よく考え抜く力.
  • 些末に思える点まできちんと確認できる力.

また,上に述べた,修士課程までに習得しておいて欲しいことは概ね出来ることを前提とします. 博士課程から配属を希望する場合は,必ず出願前のできるだけ早い時期に教員(岩本・渡邉両名)に連絡を取り,自身のこれまでの研究内容やこれからの研究計画を聞かせてください. また,可能な限りオープンラボ等に足を運んでほしいと思います.

本研究室に配属後は,最先端の暗号理論および情報セキュリティ技術の研究を通じ,プロの研究者として独立して研究を進められるようになることを目指します. より具体的には,以下を意識した研究活動を行います.

  • 専門とする分野を深く追求すること. 指導教員はあくまで相談役に過ぎず,自分独自の世界を築くことが目標です. 研究分野での最先端に到達するだけでなく,その経験から,研究分野における専門家として十分な見識をもつことが重要だと思います.
  • 特定の分野の研究を深める過程で,自身の専門分野を中心とした幅広いテーマに関心をもち,自己の研究の裾野を広げつつ,分野全体に関する大局的な見識を持つこと. 情報セキュリティ・暗号理論に関する幅広い知識を得ることで,専門家として社会で十分活躍できる人材となること.
  • 専門知識を論理的かつ聴衆の前提知識に合わせて伝える能力を培うこと. 良い研究者は,優れた研究能力だけではなく,専門知識を相手に正確に伝える能力も有しているものです.また昨今は,アウトリーチ活動も力を入れなければなりません. 専門家だけではなく,非専門家にもわかりやすくかつ正確に専門知識を伝える技術を身につけることを目指します.