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音楽・2011年


高橋さんがピアノを受けもたれたトリオ・ネーベンゾンネンで始まり,METのジルベスターで終わる,ここ数年にない,充実のラインナップとなりました.国内・海外,たくさんありました.

願ってもなかったのはアムステルダムに行ったときに,情けないことにオペラ座をチェックせずに行って現地で知ったラトルの「薔薇の騎士」.このオペラはずっと生は避けていましたのでクライバー以来,17年ぶりとなりました.チケットが1枚しか手に入らなかったので(痛恨),家内と半々を見ました.それにしても,ドイツ語が分からなくても,このオペラは「会話」なのだと強く思いました(←その意味でラトルは大きく損している).オケはビリッとした味が仕込まれていて,流石はラトルとの印象.

これと同じく痛恨だったのは,海外滞在のために足かけ4年聴いてきたペーター・レーゼルのベートーヴェン・ピアノソナタ全曲演奏会の最後の1日だけ聴けなかったことです.協奏曲は充実の極みでした.指揮のシュテファン・ザンデルリンクは始めて聴いたのですが,その父上が亡くなった直後でもありました.一度限りのコンサートでしたが,父クルト・ザンデルリンクのシューマンのピアノ協奏曲(ピアノ:ブレンデル),ショスタコーヴィチ15番は一生の宝物です.あんなにオーケストラが豊かに(暖かく精緻に)鳴ったのはそれが天下のベルリン・フィルであることを考えても私にとっては驚異的な出来ことでした(ショスタコーヴィチはベルリンフィルの150周年記念ディスクに収録されています).

この年は本当に貴重な公演が多かったのですが,貴重という意味ではマリインスキー劇場の現地に行ったこと,METのジルベスターでオペラを観たことでしょう.前者はロシアバレエ,後者はpasticheオペラの世界初演.ドミンゴがずいぶんコミカルな役(Neptune)を演じましたが,136番目の役だそうです.

そんななか,始めて聴いた松本紘佳さんのリサイタル,地震の直後という大変な時期でしたが,それを忘れさせる演奏,高校生という年齢と無関係に響く立派な音楽,聴いた驚きと充実感は上記の演奏会以上だといって過言でないと思います.



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